【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
誰かに見られてるんじゃないか

会ってしまうんじゃないかって

ヒヤヒヤと心配もしているけど

「…心配するな。ここは遠い。
それに俺はどうしても
今日ここに羽美花と来たかったから
俺は凄く嬉しいんだよ。」

その言葉に

少し心配していたのが楽になって

2人で色んな場所を回った。

「…可愛い。」

「…あっ、これもいいなぁ。」

つい、子どものようにはしゃぐ私に

部長もクスクス笑ってくれた。

氷室部長は、私より7歳も年上だから

やる事なす事が大人で完璧で

本当にぬかりないし

プライベートでも几帳面で

無駄がないと思った。

でも普段、会社では

あまりニコニコしないイメージの

部長がこの2〜3日で

私にたくさん微笑みを

見せてくれる事が嬉しかった。

泣いていた私が満君と豊島さんを

思い出させないように配慮してくれて

いるのかもしれないけど

私はその気持ちに甘えながらも

会社の人達も恐らく知らない

氷室部長を知る事が出来ているようで

何だか嬉しかった。

「買ってやるよ。」

との申し出を丁重に断って

私は可愛いと思った小物を買った。

混雑する前にと

評判のパスタのお店で

少し早めの昼食を済ませた私達。

お店を出た後すぐ、氷室部長の携帯に

藤堂課長から電話がかかってきた。

「藤堂…“タカ”と俺は呼んでるけど
タカと俺の一家は昔から
家族ぐるみの付き合いしてるから
正月に皆で集まる件で
かかってきたんだと思う。
ちょっと俺…喫煙がてら
タカに電話してきていいか?

…あっ、でも大丈夫か?
一人でも?」

不安そうに聞く氷室部長に

心配かけたくないし

「大丈夫です。」

と、笑顔を見せた。

「…ついでに、お互いに欲しい物を
ゆっくり買う時間を作ろうか?」

との提案もあり

1時間だけ別行動を取る事になった。

待ち合わせ場所を決めて一旦別れ

氷室部長は喫煙所へ行き

さっき寄った調理器具のお店を

もう一度見たいと思い

雑貨品フロアのある階の

エレベーターに乗った。




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