【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
氷室部長は、何だ?と言いたげな顔で

その箱を開けた。

「…これは。」

中身は某ブランドの

ネクタイピンと携帯ストラップ。

元々ブランド品はあまり興味ないけど

私が志望していた短大に合格した時

「合格と入学祝いだ。」

と、兄がプレゼントしてくれたのが

このブランドの財布だった。

デザインが素敵で使いやすくて

たちまち気にいって

以来、このブランドだけは好きで

年に一度だけ、バッグなどを

自分へのご褒美で購入している。

***

ネクタイピンとストラップを見ながら

えっ!?何で?と戸惑い

不思議そうな顔をする彼に

「…改めて…私から氷室部長への
クリスマスプレゼントです。」

私は微笑んだ。

「…はっ!?えっ!?
プレゼントなら…もう俺…。
ネクタイ貰ったじゃないか?」

驚いた顔をする彼に私は首を振った。

あのネクタイもそのブランドだった。

良く似合って素敵だった。

でも…。

「…あれは、氷室部長の為に
選んだ物じゃないから…。
部長…喜んでくれて良かったし
似合って素敵だったけど
やっぱり失礼だと思ったし
…ちゃんと部長の為に選びたいと
私がそう思ったんです。」

「…でも、これ…高かったんだろ?
あのネクタイも…同じブランドだろ?
俺、このブランド好きだけど…。
羽美花も好きなのか?それとも偶然?」

彼の問いかけに

「…私もこのブランドだけは好きです。
私、何度か社食で氷室部長が
財布を取り出したのを見た時があって
『あっ、私と同じブランドのだ。』って
気づいたんです。
キーケースもそうだし
『ああ、部長…好きなのかな?』って
そう思って、別行動の時に選びました。
ネクタイピンはパッと見て
あのネクタイに合いそうだと思ったし
携帯ストラップは
私もデザイン違いのを買いました。
…同じブランドが好きなんて
偶然です……あっ……んんっ。」

まだ話は済んでないけど

私は彼に顎を掴まれると

唇を強く塞がれてキスをされた。

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