【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
「………!!」

氷室部長からの愛の言葉に

目を見開くと同時に

パッと頭の中が眩しくなった。


ああ……。

何だろう…不思議。

忍び寄る影によって

真っ暗闇に突き落とされたはずなのに

踏み倒されて、引きちぎられて

砕け散ったはずのお花畑に

……明るい光が差し込んだ。

明るいだけじゃない。

凄く温かくて、ほんのりと優しい。

太陽のようにいい匂いがする。

私の中で眠って閉じ籠っていた愛が

再び戻ったかのように

花々は咲く事を思い出したかのように

次々と息を吹き返し

蕾を出して咲いていく…。

…あなたを待っていた。

そう呼びかけるように…。

『俺の『姫』になって欲しい。』

『たくさん花を咲かせてやるよ。』

私の鼓膜を擽るように

ゆっくり染み込もうとする

彼からの愛の言葉…。

私をずっと好きでいてくれたと言った。

『恩人』から『彼』に変ろうとする

彼の言葉。

「…羽美花。」

切なそうに私の名前を呼ぶ彼は

私の顔を覗き込んだ。

一瞬目を瞑り、再びゆっくり開けると

「…部長が私の『彼』で
本当にいいのなら
私…あなたの『姫』になります。
たくさんの花を…部長の愛を
私の中で咲かせてくれますか?」

私は彼を見つめると

「…ああ、勿論だ。」

と、私の頬に触れた。

彼の頬にそっと手を伸ばすと

「…『姫』になります。
部長…『彼』になって
私を…抱いて下さい。
たくさんの愛を咲かせて下さい。」

私は彼に愛を囁いた。

すると彼は立ち上がり

私をお姫様抱っこをするように

そっと抱き上げると

『…抱くよ。』

そう言って私を寝室へと運んだ。
















< 146 / 320 >

この作品をシェア

pagetop