【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

4年前…当時27歳の俺は

大学を卒業後、Sコーポレーションの

子会社のA社に就職した。

関西の営業所勤務を経て

前年の春に本社営業課に栄転し

この春に課長に昇進したばかりだった。

しかし、私生活では

社会人2年目の24歳で結婚したものの

翌年の25歳で離婚。

僅か1年間の結婚生活だった。

もう誰も好きにならない。

もう誰も愛する資格はない。

女性への恋愛感情に蓋をして

空っぽになった心に鞭を打つように

仕事に生きた。

仕事は次々と契約成立に至り

新規開拓も軌道にのり

課長にも昇進して信頼を得られた。

仕事は辛いとは思わなかったし

天職だと思うくらい順調だった。

でも、やっぱり…満たされない。

心に隙間が埋まらない。

潤いすらも感じられないくらい

それすらわからないくらい

俺は乾き切っていた。


誰かを愛する事を諦めたはずの

そんな俺に運命の出会いが訪れた。

うだるように、熱い夏の日。

俺は…出会った。


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