【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

本当は疲れているはずなのに

この人はあまり疲れを表に出さない。

逆にオトコの色気は

溢れて漏れるほど感じる。

だから、女性が放っておかない。

私も…いつの間にか

その虜になっていると思う。

だけど私はそれを素直に口に出せない。

「…どうした?ボーッとして。」

“ハッ”と気づくと

至近距離で彼の瞳に私が映った。

「…あっ、あの…。
おっ…お疲れ様です。
氷室部長!!」

あっ、しまった。

緊張のあまり間違えた。

すると

「…ん?…何だって?
羽美花…間違えてる。
今はプライベートだろ?
名前で呼べよ。
俺は今もう帰って来たんだから
部長じゃない。」

ジロリと睨まれた私は

「ご…ごめんなさい!!
つい、間違えちゃいました。

おかえりなさい…咲輝翔さん。」

そう慌てて言い直した。

彼はフッと口角をあげると

「…わかればよろしい。
ただいま…羽美花もお疲れ。

いい匂いだな…腹減ったよ。」

そう言って私の頭を撫でると

私が持っていた鞄を取って

奥の部屋へと向かっていった。
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