【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
Sコーポレーションの採用試験は

先々週に行われたのは知っている。

そろそろ、採用合否が出るはずだ。

彼女も採用だろうか?

気になって仕方ない。

しかし、名前も知らない上に

個人情報に関わる事を管理職が

人事に尋ねるなどあってはならない。

でも、もし彼女が採用なら

来年の春以降に会えるかもしれない。


そう思い始めたある日

俺は会議の為にSコーポを訪れていた。

会議終了後、俺は

企画デザイン開発部の課長でもある

藤堂貴晶と喫煙室に入った。

近況など話して、談笑していた時

ある男性社員が喫煙室に入ってきた。

最初、俺達より少し離れた場所で

煙草に火をつけたが

俺の姿を見て何かを思い出したように

「氷室部長!!ちょうど良かった。」

と言って近づいてきた。

「…正田(まさだ)か?何だ?」

藤堂の1年後輩で

人事課のエース候補の正田だった。

正田は煙草をふかすと

「良い話があるんですよ。
但し、守秘義務と個人情報なんで
くれぐれも内密って事で。
藤堂課長も頼みますよ。」

と、俺達に前置きした。

「「……ああ。」」

俺達は同意した上で話に耳を傾けた。

すると正田は

「…以前、氷室部長が
ここの採用説明会当日に
連れて運んで来た、野村羽美花さん。
……Sコーポ内定決まりましたよ。
システム部配属が有力らしいですよ。」

と、サラリと笑顔で言った。
















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