【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
「…あの子は野村羽美花と言うのか?」

俺の問いに正田は

「…あれ?氷室部長
名前知らなかったんですか?
あの子の名前は、野村羽美花さんです。
一緒にいた女の子は、山谷花菜子さん。
同じく内定です。
くれぐれも内密に頼みますよ。」

と、ニコニコしていた。


***

…嬉しかった。

あの子の名前が

野村羽美花だと知る事が出来た。

あの子…野村羽美花が

内定していた事を知る事が出来た。

そうか…内定か。

…ホッとした。

本当に良かった…頑張ったな。


自分の事のように何だか嬉しくて

嬉しくて…たまらない。

そうか…春から彼女は

Sコーポレーションの社員か…。


きっと彼女自身も今頃

ホッとしているだろうな。

あの美しい顔が笑顔で微笑む姿。

多分凄く美しいだろうと思う。


…おめでとう…野村羽美花。

目には見えない相手に対して

心の中で一つ呟いた。


来年の春には必ず会える。

仕事関連で話が出来るかもしれない。

その時は彼女に『おめでとう。』と

言ってやりたいけど

彼女は俺を覚えてくれているだろうか?

是非どうか覚えていて欲しい。


会えたら必ず俺は名刺を渡したい。

俺の名前を知って欲しいから。

来年の春になるのが待ち遠しくなった。


しかし

そんな俺のささやかな想いは

ある男性社員の話によって

叶わぬ辛い恋心・片想いと

日々募る想いに苦しむ方向へと

進んで行く事になる。


そのある男性社員が“笠置満”だった。











< 163 / 320 >

この作品をシェア

pagetop