【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
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12月28〜29日勤務までの職場が多い中

私はサーバートラブル対応に備え

30日の午前まで出勤していた。


「…お疲れ様!!」

「…良いお年を!!」

「…来年もよろしくお願いします。」

他にも出勤していた社員や管理職と

挨拶をかわした後、私は会社を出た。


昨日氷室部長とは

社内ですれ違う事はあっても

話しかけられなかった。

目も逸らされたような気がして

何だか切なかった。

今日はいるのかもしれないけど

顔を合わせていないからわからない。

花菜子は喫茶店で会った翌日から

一足早めに正月休暇に入っているから 

話はしていない。

…はぁっ。このまま本当に

年明けまで会わないのかな。

私がまだ満君に未練があると

誤解させてしまったのが

悪いのかもしれない。

それとも本当に決着をつけて欲しいと

思っているのかな。

満君の名前を口にした時の

彼の怒りを含んだ表情。

切なく、悲しそうな表情。



私の全身にまだ残る

たくさん咲いた紅い華。


『羽美花は俺だけ見てればいい。』

『離れるなんて許さない。』

『俺の前から消えないでくれ。』

『もう傷つくのは俺だけでいい。』


耳に残る彼の言葉。

彼の過去に何があったのかは

聞けてないけど

私は知らず知らずのうちに

まだ満君に未練あるように

思わせてしまっているから

彼に歯がゆい想いをさせ

傷つけているのかもしれない。


謝らなくちゃいけない。

伝えなきゃいけない。


いつの間にかアパートに近づいてきた。

入ったら電話してみよう。

そう思いながら、自分の部屋へと向かい

鍵を取り出そうとした時


「…羽美花。」

後ろから私を呼ぶ声がした。

思わず“ビクッ”となった。

この聞き覚えのある声。

恐る恐る振り向くと

…あっ。

目を見開くと同時に

体が震えそうになった。


…立っていたその人は満君だった。














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