【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
私の後ろ髪を横に分けて
咲輝翔さんはうなじや
首にキスを落とす。
「…あっ。」
くすぐったさに身を捩ると
「…今日はごめん。
嫌なところを見せてしまったな。」
辛さを含ませた声で
そっと私に謝ってきた。
何の事?って聞かなくてもわかる。
「……給湯室の事でしょ?」
俯きながらポツリと答えると
「…ああ。そうだ。
広報課長を通して
何度も警告を発していたが
今日も給湯室に入った途端
いきなり入ってきた。
どこかで多分見ていたんだろうな。
柴田が連絡してくれて正直助かったが
今日は羽美花がメンテナンスに来ると
わかっていたから
なおさら、あんなところを
見せたくはなかったのに…。」
“悪かった”と、彼は
お腹に組まれた両手に
“ギュッ”とチカラをこめた。
背中を通して密着度が増す。
「…怒ってるか?」
私が黙ったままだからなのか
彼の声が不安に揺れている。
重いと思われたくない。
私は首を横に振ると
「…ううん。大丈夫です。
咲輝翔さんが誰かに
告白されているのを見るのは
初めてじゃないし
咲輝翔さんモテるから仕方ないです。」
と、明るく振舞ったけど
「仕方ないなんて言うなよ!」
彼のキツイ声が降り注いだ。