【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
*****

午後から始まった

企画デザイン開発部のメンテナンスは

特に滞りなく進んでいた。

体調がこんな調子だからこそ助かった。

ただ…正直、頭が鈍ってる。

顔が火照って熱くなっていた。

「野村さん、久しぶりだね。」

ミーティングから戻ってきた

同期の男性社員の

茅部(かやべ)君に声をかけられた。


一瞬誰かわからないくらい

私は今日は鈍っていた。

「…あっ…久しぶりだね。
もう少しだけ…待ってて。」

この茅部君のパソコンの

メンテナンス中だった。

「…別にいいよ…ゆっくりやってて。
ところで、顔色悪そうだけど大丈夫?」

座っている私の隣に立ち

こちらをチラリと見た。

「…あ、うん…大丈夫。」

本当は少し頭が痛くなってきた。


…それに…水飲みたい。


解熱剤飲んだばかりだから

今はまだ飲めない。

だから、戻ったらお水買って飲みたい。

「…野村さん、顔赤いけど
具合悪くないか?」

茅部君が心配してくれた。

…えっ!?…赤い?…わかる?

でも、あと少しだけ。

それに集中していないと終われない。

病院行けなくなる。

咲輝翔さんに会えなくなる。

謝れなくなる。

話せなくなる。

聞きたい事がある。

ちゃんと聞きたい。

真実を受け入れたい。

捨てないで欲しい。

静花さんの元へ行かないで欲しい。

でも、関西出張なら

会う確立もないとは言えない。

あの男性は、咲輝翔さんが

静花さんと会ったと言ってたし

『復縁』は本当なのか知りたい。

でも、それが本当だったなら

何を言われるのかわからない。

昨日の朝の彼からのメールには

勿論、そんな言葉は一つもなかったけど

カラダが参っている時は

ココロがさらに暗くなって

余計に参ってしまいそうで

泣きそうにもなる気がした。

今はとにかく気を抜けなかった。




「…お待たせ…メンテ終了よ。」


ようやく済んだ私は立ち上がった。

そして、椅子を元に戻した瞬間


…“ズキン”

突然みぞおちに痛みが走った。

「…うっ。」

片手で椅子の背もたれを持ったまま

みぞおちに手を置いた。

何…今の?

でも、さらに感じる痛みに

「…痛い。」

思わず本音が漏れてしまった。






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