【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

…知らなかった。

咲輝翔さんが

自分のご両親に私の話をしていた。

妹の夏希さんにも話をしていた。

『紹介する』と言ってくれていた。

『今度こそ幸せになりたい』と

話していてくれていた事も…。

嬉しいと思った。

藤堂部長と夏希さんの話も

ほぼ一緒だから間違ってはなさそうで

あの話が“嘘”だと言う事も

段々わかってきた。

「…ねぇ、羽美花ちゃん。
私もね、貴晶さんと付き合ってる時に
彼の浮気を疑った事があったの。」

「…浮気?…藤堂部長がですか?」

意外な話に涙も止まりそうになった。

茉優莉先輩は頷くと

「…結局は私の勘違いであって
貴晶さんと貴継さんが一卵性双生児で
ある事を忘れていたのもあったけど
昨年の5月位だったかな。
貴継さんが夏希さんと
ブライダルサロンでデートしてるのを
目撃したのね。
私はてっきりその男性が
貴晶さんだと思ってたから
本人に確認取らずに
自分を思い詰めちゃった結果
別れようと思ったの。
…あまりにも似過ぎていたから。」

と、当時のエピソードを話してくれた。

黙って聞いていたけど驚いた。

先輩はクスッと笑うと

「…でも、誤解は解けて
貴晶さんが私を想ってくれていた事が
わかって結婚出来たけど
コミュニケーションが不足してたのと
相手を好きだからこそ不安になり過ぎて
大事な事を聞けていなかったり
信じられていなかったりして
知らず知らずのうちにお互いを
傷つけあっていた事には反省したわ。
夫も言葉足らずや不器用さを
悪かったとは言ってくれたけど
羽美花ちゃんと氷室さんは
あの時の夫と私に
何だか似ているような気がするの。」

その言葉に

「…えっ!?…似てる…ですか?」

と、驚くと

「…うん、似てる。
羽美花ちゃんは
不安になり過ぎてるところや
信じられていないところや
コミュニケーション不足や
氷室さんは
言葉足らずや不器用さ…ね。」

そう言った後

先輩は自分の手を

私の右手にもう一度重ねると

「…花菜子ちゃんも羽美花ちゃんに
言ってたみたいだけど
好きなら、話し合ってね。
あの時の私のようにならないで。
…氷室さんはちゃんと
羽美花ちゃんを大事にしてるよ。」

さっきのにこやかさは違う

真面目な顔で私を見た。



< 245 / 320 >

この作品をシェア

pagetop