【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
“ギュッ”と私を抱き締める咲輝翔さんは
「…藤堂や茉優莉ちゃんから聞いた。
菊田達からも聞いた。
ごめん…。
様子がおかしいとはわかってながらも
羽美花の『何でもない』に
それ以上突っ込んで聞かなかった。
後悔してる…ごめん。」
私は首を横に振りながら
「…私が悪い…です。
ごめん…なさい。」
涙ながらに謝る私に彼が
腕の力を緩めて私を離すと
両手を私の両肩に置いて
私の顔をジッと見た。
「…でも、どうして
あんな大事な事を黙ってたんだ?
どうして俺に何も
相談してくれなかったんだ?」
「…ご…めんなさ…い。」
「…『ごめんなさい』はいらない。
俺はそんなに頼りないか?
羽美花にとって俺は何?
恋人じゃないのか?」
切なそうなその瞳に胸が“ドキッ”として
苦しいくらいに締め付けられた。
言葉が出なくて、首を横に振りながら
涙をポロリ…ポロリと流す事しか
出来ない私に
「…俺がそもそも悪かったな。
言葉足らずだったな …。
俺達が付き合ったキッカケも
半ば強引だったからな…。
羽美花が何も言えなくて当然だな。」
私の涙を拭った彼は
「…ずっと俺は傍にいるから。
羽美花の傍にいるから…。
…“復縁話”は真っ赤な嘘だ。
絶対に俺は元妻と復縁なんてしない。
向こうだって、その気はないから。」
えっ!?と驚くと間も無く
彼は私に顔を近づけると
「…ちゃんと話すから。
不安に思ってる事や聞きたい事も。
だから、何でも聞いてくれ。
何でも話してくれ。
もっと俺を頼ってくれ。
そんなになるまで我慢するな!
俺はいい加減な気持ちで
羽美花と付き合ってきたんじゃない。
…大切で…守ってやりたくて
ずっとこれからも愛してる。
だから自分を傷つけないでくれ。
追い詰めないでくれ。
俺だってもう傷つきたくない。
だから、頼むから…
俺の前からいなくならないでくれ。」
そう言って
「…愛してる。」
唇が触れる間際に愛を囁いた彼は
私の唇を優しく深く塞いで
甘くて熱いキスをした。
背中に腕を回す私に応えるように
彼も私を引き寄せる。
個室とは言え、病院だけど
今の私達は全く気にならなくて
お互い角度を変えながら
何度も何度もキスをして
彼は再び私を強く抱き締めた。