【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
豊島亜由子は

私から略奪した笠置満と

交際を続けていたが昨年別れていた。

理由はわからないものの

それを私の所為だと思い込んでいた。

加えて、私と咲輝翔さんの姿を

どこかで目撃した豊島さんは

私を逆恨みしていたとの事。

そして、何らかのルートで

彼の元妻静花さんと

甲田静一 姉弟の存在を知り

甲田に近づいた豊島さんは

現金と引き換えに取引を持ち出した。

それは

『私を脅かして困らせて欲しい。』

『何でもいいから
私を追い詰めて欲しい。』

『私と咲輝翔さんの仲を
邪魔して欲しい。』

…との事だった。

お金欲しさに取引に応じた甲田は

嘘の『復縁話』を持ちかけて

私と彼を別れさせようとしたり

誹謗中傷して私を追い詰めたりした。

ポストに手紙を投函したのは

豊島さんだったらしい。

「…一昨日…羽美花が逃げる前に
かかってきた電話は
経理部の綿貫からで
それがこの件についての話だった。

…だから、一昨日関西へ着いてから
すぐに甲田の家に行って
アイツ…静一を問い詰めたら
白状したよ…。」

そう言って

「…辛かったな。嫌な想いしたな。
しんどい想いさせたな。
俺も…綿貫に言われるまで
そんな事があったなんて
気づいてやれてなかった。
“話して欲しかった”と言ったけど
…羽美花も羽美花なりに
SOSを出していたのかもしれないのに
気づいてやれてなかった。
彼氏として情けないな…。
本当にごめんな。」

切なそうな声で私に謝った彼は

そっと私を抱き締めた。


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