【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
私は首を横に振った。

「…打ち明けなかった私こそ
ごめんなさい。
…でも、どうして綿貫主任の名前が
出てくるんですか?」

私はチラリと首を傾けて

咲輝翔さんの顔を見上げた。

すると

「…甲田が送信した羽美花への
“誹謗中傷メール”が宛先間違いで
“経理部の野村”のメールボックスに
送られていたらしい。」

彼は詳細を話してくれた。


***


甲田静一は数日前に

私宛にいつものように

誹謗中傷の内容のメールを

送信したはずだった。

しかし、慌てていたのか

宛先間違いに気づかず送信した

そのメールは

経理部の花菜子の後輩で

総務部から異動した

私と同じ苗字の“野村”と言う

若い男性社員の元に届いていた。

「…経理部の野村はメールを見て
内容が内容なだけに驚いて
放置は不味いと思ってくれたらしい。
それで、綿貫にそのメールを見せて
相談した事で発覚したんだ。」

「…そうだったんですか。」

「…ああ。
それで相談を受けた綿貫は
羽美花と俺を想って
綿貫なりに甲田を問い詰めたりして
独自で調査してくれていたらしい。
そして、最終的に
『豊島が黒幕だった事を突き止めた』と
俺に連絡してくれたんだ。」

そう話してくれた。

「…それがキッカケで
今回の件を知る事が出来たから
良かったと思ってる。

…豊島に対してはまだ調査中だから
綿貫が今後本人に事情を聞くなりして
認めさせた上で
羽美花と俺に対して絶対に本人から
謝罪させるようにするから
今は『任せておいて欲しい』と言ってた。

…だから、豊島に関しては
綿貫に任せておく。
甲田は俺が羽美花の代わりに
殴っておいたから安心しろ。」

彼は私の頬を手の甲で軽く撫でた。

豊島さん…笠置満と別れてたんだね。

何が原因かはわからないけど

自らに下りた天罰を逆恨みするのは

許せない。

略奪したのなら貫き通して欲しかった。

でも、今はまだ調査中なら

詳細はこれ以上聞けないし

綿貫主任に任せておくしかないから

この話は今は止めておくにしても

……うん?殴った?

あの甲田静一を?

「…….えっ!?…殴った?
あの男性を殴ったんですか?」

私は頬を撫でられたまま

彼を恐る恐る見た。


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