【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
唇が離れた瞬間

気になる事を聞いてみた。

「…でも、静花さんは
ご実家にいたんですよね?
静花さんは本当に
復縁の意志はなかったんですか?
あの男性は
静花さんが実家に帰っているのは
再婚がダメになりそうだって…。」

“復縁はない”と、咲輝翔さんは

病院でも言ってくれたけど

静花さんは実家にいた…。

何だか引っ掛かりを感じる。

すると

「….そんな訳ないだろ。
静花は今の夫の戸叶が
海外出張してるから
実家に帰って来たのであって
仲が悪くなったとかじゃない。
ちゃんと確かめてきた。」

「……そうなんですか?」

「…ああ、甲田のデタラメだよ。
静花も再度謝ってた。
『私も馬鹿な事して
氷室君に迷惑かけたけど
弟も馬鹿な事して
氷室君の彼女に迷惑かけた』って。」

「……。」

「…それにだいたい
静花が戸叶と別れるなんてない。
アイツ達は俺を裏切ったんだから。
例え、言って来たとしても
俺を裏切った女とノコノコ復縁なんて
馬鹿馬鹿しい真似はしない。」

『だから安心しろ』と言って

彼は私を見た。

でも、その表情は何だか辛そうだった。

瞳はとても切なく悲しそうで…。

それに彼の口から出た

『裏切った』の言葉が重く感じた。

しかも、静花さんの今の旦那さんを

『戸叶』って呼び捨てだった。

咲輝翔さんの知り合いなの?

「…咲輝翔さん…戸叶さんて…。」

恐る恐る聞いた私に

「…ああ…戸叶か。
俺の大学時代の友人だった奴だよ。」

彼はそう答えた後視線を遠くに向けた。

何かを思い出しているように…。

絶対に何かがある…。

彼と静花さんと

戸叶さんと言う男性の間に…。

『裏切り』と言うほどだから

過去に相当の何かが…。

聞いてもいいかな…?

いや、知りたい…知らなきゃいけない。

『私を離さない』

『将来を考えてる』と言ってくれる

彼の暗闇に隠れた真実を。

それが衝撃的な真実だとしても

私は離れるつもりはない。

笠置満と交際をしていた私を

この人は受け入れてくれた。

だから、私も花菜子の言う通り

彼の過去を受け入れないと

一緒になれない。

モヤモヤしたくない。


「…咲輝翔さん。」

私は思い切って口を開いた。
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