【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
大学生活も4回生になると

就職活動や卒論に忙しかったが

合間合間に気晴らしで3人で飲んだり

戸叶が所有する車でドライブや食事に

行ったりしては交流を深めていた。

2人は相変わらず仲が良く

『おしとやかな花のような女性に』が

名前の由来だと言う静花は

「由来とは正反対に育っちゃった。」

と自分でも言うほど明るくて

誰とでも仲良く振る舞える女性だった。

だけど、時折見せる微笑みは

花のように可愛いと思えたし

戸叶に見せる女の子独特の恥じらいや

おしとやかさは由来通りだと思った。

ただ…俺は凄く複雑で堪らなかった。

俺の知らない静花を戸叶は知っている。

戸叶にしか見せない彼女の表情。

俺だって好きなのに

こんなに近くにいるのに

手を伸ばす事が出来ない…。

俺はグッと堪えるしかなかった。


***


その後も何かと忙しくしながらも

相変わらず3人の付き合いは続き

頑張ろうと激励し合いながら

就職活動も本格化していき

周囲が次々と内定を貰っていく中で

俺も何社か採用試験を受けた結果

第一希望だった大手企業の

Sコーポレーションの子会社A社の

内定を貰えた。

配属先は関西営業所だったが

販売関係を希望していた静花も

関西の大手デパートに内定が決まり

会社とデパートは割と距離が近かった。

今後も戸叶を通して彼女に会える。

関西に決まって良かったと

心からそう思い

「…また仕事帰りにでも
3人で会って飲もうな!!」

と2人に話すと

「「…いいね!!」」

と賛成してくれた。

その後、戸叶も就職先が決まった。

その会社は戸叶の希望していた企業で

関西に本社を持っていた。

A社関西営業所やデパートよりは

離れた距離にあるが

彼氏が同じ関西で就職出来た事に

静花は心から喜んでいた。



しかし、その後

戸叶の配属先が決まった。

そこは本人が希望していた

関西本社ではなく

関西より遥かに離れた所で

俺の地元の隣県にあり

有名な観光地がある関東支社だった。

新人研修で配属先変更の可能性が

ごく稀にあるかもしれないが

期待出来ないとの事だった。


戸叶と静花は

卒業後の離れ離れになり

遠距離恋愛が必然的に決まった。










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