【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
******


翌年、大学を卒業した俺は

A社に入社した。

研修期間を経て約束通り

関西営業所に配属された。



新人なりに覚える事は大変だが

業務に邁進した。

『君はそのうち出世頭になる』

と、上司達にも

目をつけて貰えるようになった。


***

一方で

遠距離恋愛になった静花と戸叶は

関西と関東を

お互い行き来し合ったり

連絡を取り合っているようだった。


戸叶が関西に帰ってきた時は

時間を作って3人で飲んだり

俺がA社本社への研修や

先輩社員の出張同行で

東京に行った際は

戸叶と居酒屋で会ったり

戸叶のアパートにお邪魔して

飲んで泊まったりして

交流を続けていた。

しかし、戸叶のアパートの台所にある

静花の物と見られるマグカップが

あるのを見てしまった時や

戸叶の口から静花の名前が出ると

顔は笑っていても、心は複雑の渦に

巻き込まれているようだった。

しかし、相変わらず

静花への募る恋心は変わらないまま…。

俺自身もこんな想いを何とかしたい。

静花への恋心を断ち切りたくて

先輩社員が企画した合コンで

知り合った女性と無理して

付き合った事もあった。

しかし

その女性を好きになろうとしても

静花を思い出してしまう。

抱けなくなってしまい

自分に苛立ちを感じるばかりで

次第に女性側から愛想を尽かされる。

『かっこいいのに
何を考えてるかわからない。』

と、言われてしまって

長続きはしなかった。





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