【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

「…氷室部長が?」

驚く私に花菜子は軽く頷きながら

「藤堂課長が『止めきゃマズイ』って
言って、後から入って行ったから
英慈さんも一緒に止める為に
つられて入って行ったんだって。
その時、氷室部長が
笠置主任と豊島さんに
こう言ったんだって。」

「…何を?」

「『なぜお前達が2人で会ってるのかは
知らないが、野村さんに黙って
コソコソ会うようなマネはするな!!
誤解を招く軽率な行為は
野村さんを悲しませるだけでなく
自分達の首を絞めるだけだぞ!!』
…って言ってたんだって。
2人ともイキナリの事で
唖然としていたらしいし
店内も騒ついた事で
藤堂課長と英慈さんが止めに入ったから
氷室部長も我に返って
その後藤堂課長や英慈さんと一緒に
そのお店を出たって言ってたよ。」

その話を聞いた私は

驚きを隠せなかった。

「…何で、氷室部長が?
何で…そんな事を?」

ワケがわからない私に

「…氷室部長は居酒屋の席では
『あいつらの為に忠告しただけ。』
と言ってたらしいけど
英慈さんが見た感じだと
『あんなに誰かの為にムキになって
怒った氷室部長は初めて見たって。』
そう言ってたよ。」

花菜子はそう言うと

もう一口お茶を飲んで

「…英慈さんの言う通り
氷室部長って以前よりは
クールになった感じだし
営業部の伊坂君の話だと
部内では怖い存在なんだって。
だから、亜美ちゃんが
ヤキモチ妬いてたように
氷室部長は羽美花には
優しく話かけてくるし
そうやって、羽美花の為に
店内に入ってまで
主任と豊島さんに怒ったって聞いて
かっこいいなって思ったし
羽美花は大切な後輩だと
思われてるんだね。」

「…はぁ。」

そう、言われても

私は満君と豊島さんの事が引っかかって

氷室部長の話にどう返答していいか

よくわからなくなった。


< 64 / 320 >

この作品をシェア

pagetop