【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
聞き返さなくてもわかる。
氷室部長が聞きたい事…。
お店に乗り込んで
満君と豊島さんを
叱責したとされる張本人であり
再度、総務課長や人事部長
経理部長や課長の前で
“私に謝れ”と言って
改めて2人を叱責した張本人…。
あれから、満君が私に謝ってきたか
この人は確かめようとしている。
でも、ちょうど私も…。
お礼が言いたかった。
本当は満君との事を聞かれる前に
言わなきゃいけないのに
部長のオーラに緊張してしまってた。
私は背筋を伸ばすと
「…はい。あの…。
彼は…謝ってくれました。
その日の事は誤解だったと
ちゃんと説明してくれました。」
「…そうか。」
「『二度としない』と言って
約束してくれましたので
謝罪を受け入れました。
…あの…氷室部長。
ありがとうございました。
私の代わりに2人に
注意…怒って頂いたみたいで…。
彼も反省してると言ってくれました。
巻き込んでしまって、お騒がせして
すいませんでした。」
と、言って私は
氷室部長に頭を下げた。
「…そうか。良かった。
でも、俺の方こそ…。
逆に騒ぎを大きくさせてしまった。
…悪かったな。」
申し訳なさそうに話す部長に
私はもう一度右手を左右に振ると
「いいえ…とんでもないです。
知らないままは多分もっと
辛いですから…。
ご心配下さって
ありがとうございました。」
と、もう一度お辞儀をした。
すると
「…野村さん。
俺は裏切り行為が嫌いなんだ。
だから、君の事を昔から散々惚気て
自慢していたはずの笠置が
豊島と一緒に食事してるのを見て
野村さんがいるのに何をしているんだ?
と思った途端、体が勝手に動いて
いつの間にか俺は店内に入って
笠置と豊島に叱責していた。」
そう言って、氷室部長は
何とも言えない表情で私を見た。