【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

ふぅ…。はぁ…。

私は大きく息を吐いた。

気を遣ってわざと嘘をついて

話を逸らしてくれた事は 

ありがたかったけど

何だか今のだけでも

緊張して疲れた気がした。


もう一度息を吐いた私は

さっき氷室部長から受け取ったモノに

目を向けた。

うん?…名刺?

それは

氷室部長の名前が書かれた名刺だった。

私は新入社員の頃に一度

同じ名刺を頂いた事がある。

なぜ、また名刺を?

そう思いながら、裏を見た私は

あっ…。と目を見開いた。

そこに書かれていたのは

メールアドレスと携帯番号。

そして走り書きで

『アイツに言えない悩みあれば
その時は聞いてやる。
アイツをもう一度信じてやれ。』

そう書かれてあった。


『信じてやれ』って…。

ふふっ…。

何だか私の口から笑みが溢れた。

氷室部長…。

どうしてこんなに

気を遣ってくれるんだろう。

どう言うつもりで私に渡したんだろう。

心配してくれた…。

でも、浮気になっちゃうから

氷室部長に相談なんて出来っこないけど

不思議と何だか少し気分が軽くなった。

そうだね…。

私は満君の彼女だから

信じてあげないとダメだよね。


謝罪と信じる事を受け入れたのだから

花菜子は勿論

氷室部長もこうして

心配してくれたのだから

これ以上は悩まない方がいい。


ヨシッ!!

メンテナンスに行かないといけない。


仕舞っておこう…。

満君は財布の中を見るほど

束縛はしないし

恩人から貰った名刺を

捨てるなんてもってのほか…。


私はその名刺を

後でミルクティーを買う為に持っていた

自分の財布のカード入れに差し込むと

深呼吸をして一歩を踏み出した。








しかし、その数ヶ月後

私の願っていた未来は

裏切られ、踏み躙られ

音を立てるように崩れていった…。
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