SOMEHOW
「ねぇ、そういえばさ、これからどこ行くの?」


そう、俺は肝心な行き先をまだ理緒に告げていない。

最初に言っちゃったら、面白くないだろ?


「内緒。でもきっと、理緒は喜ぶと思うよ?」

「えー?そんな場所あるのー?」


手を繋いだまま理緒を電車に乗せ、目的地に向かう。

まだどこに行くかわからない理緒は少し不安そうな顔。



「そんな不安な顔すんなって。変なトコにつれてくわけじゃないからさ。」

「ホントー?てか、どこに向かってるのか全然わかんない。」

「まだ内緒。着いてからのお楽しみ、ってことで。」

「えー。早く知りたいのに。」


今度はちょっとすねたような顔をする。

繋いでいた手を離して、その手を理緒の肩にまわす。

すると理緒も頭を俺の肩にあずけてきた。


この温もりが俺は好きなんだ。

くすぐったいような、優しいような。



「着いたらわかるよ。」
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