不器用な僕たちは……

美術室から見えるグラウンドは


朝練をやっている野球部が一望できる



それに



爽やかな空



アタシにとってこの時間が1番好きなのかもしれない




ボーっとしてると



『描かねぇの?』



陣(じん)だ…!


『描くよ…!なに描こうか迷ってただけ…‼』


『ふ〜ん』


なんで?




陣はアタシの初恋の人…




同じクラスで隣りの席…



段々と好きになっていった…




勇気をもって手紙を書いたのに




返事はなし




つまりふる価値も無いってこと






アタシが告白してから






別のクラスになったのもあり、






一言も言葉を交わしてなかった






アタシは諦めの悪い女だから



つい最近までは好きだった




でも今は…




『塾、行ってんの?』



『…は?』



『だから塾行ってんだろ?どこの塾行ってんだよ』




意味わかんない…



『街の駅の近くの個別指導塾…毎週火曜に…』



『はぁ⁉遠過ぎだろ!』



はぁ?ほんと何こいつ



『そこってわかりやすいのか?』



『まぁ個別だし…』



『それだけ。じゃあな』



はーー?



ホントなんなの⁈



やる気なくした…



アタシは用意しといた絵の具を片付け


美術室を後にした



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