不器用な僕たちは……
『金原さんのお母さんは何歳なの?』
『生きてれば34
お父さんも死んでアタシはおばあちゃん家に住んでる』
知ってるのに聞く俺ってヒドイのかな
『そっか
お父さんとお母さんがいないのは悲しくないの?』
彼女は遠くを見ていた
冷たい目で
『なんないよ』
ふっと笑い
『アタシ2人が死んだって聞いて何とも思わなかったの
ショック過ぎてとかじゃなくて
2人の事が好きじゃなかったのかも
こんな親にはなりたくないなって思ってたのは事実かな』
多分
彼女は嘘をついてはいないなと思った
なんとなくだけど
そう思った
俺の両親は普通に生きてるし
世間からみても普通のオカンみたいな母
厳しいけれど優しい父だ
彼女が俺の家庭に産まれてれば
なにか変わったのかもしれない
そんな事を考えていたら
塾に着いてしまった
今日俺が担当するのは
金原さんだ