不器用な僕たちは……
『さむ~…』
暑いと思ったらもう冬みたいに寒いじゃん
『よっ 待った?』
『そんなに……』
『昨日ずっと起きてたから寝不足でさ~』
『そのまま寝てりゃ良かったじゃん』
『ホント、ひっでぇ笑
でも、ちゃんと来るなんてな』
『だって来ないと図書館毎日行かなきゃいけなくなるんでしょ?』
『そんなこと言ってねぇじゃん笑
ちょっと話しあってさ』
『話しって?』
『いや、なんでも。
さぁ遊びますか』
『どこ行くの?
ゲーセン?映画でも観る?』
『おっ!映画!いいねぇ~!何観る⁈』
考えてなかったんじゃん……
『アタシ、洋画観たい
レ・ミゼラブルやってるからそれ観よ』
『れ…?』
『まぁ行こ!!』
………
『歌ばっかだったなー』
『あたりまえじゃん
オペラにもなってるんだから』
『いつもこんなんばっか観てんの?』
『洋画ばっかだよ
日本の映画って迫力なくてつまんないじゃん』
『気取っちゃって~』
『気取ってない!!』
それから6時位まで遊んでいた
それなりに楽しかった……かも……
『今日バスで帰んの?』
『ちょうどばあばが街まで来てるから車で帰る』
『そーか……』
『なぁ……図書館に毎日なんてもうやめていいからさ……その……』
陣は向き直してアタシをジッと見た
外だったし結構暗くなっていた
でも行き交う車のライトに陣の顔は照らされた
ほのかに頬が赤く染まってた気がした
『……これ、冗談じゃなくてマジのヤツでさ………
俺、お前のこと好きなんだ
付き合ってくれ』
先生に出会う前のアタシなら即okしただろう
でも
今は出来なかった
『ゴメン』
陣は真剣な表情から直ぐに笑顔になって
『そうだよな〜
ツバサのことホントに好きなんだな~
あーぁ、俺、やっぱツバサに負けちった』
『でもさ、これからお前のこと本気で応援するからさ!
相談とかあったら言えよ!』
『あと
これからは俺たち友達な!』
無理して笑わなくていいのに
ホントは悲しいはずなのに
アタシは陣ほど強くない
先生との恋だって叶うはずないのに
なのに断って
ゴメン………
いつの間にかアタシが涙を流していた
『陣…』
『あ?』
『アリガトぉ……』
『ばか!お前泣いてんのかよ!
俺が泣かしたみたいだろ!泣き止めよ!』
こんなに焦ってる陣が見たことなくて
今度は逆に大笑いしてしまった
『……お前人が心配してやってんのに……ホントなんなの……』
『ゴメン笑』
ねぇ陣
今日陣とこうやってできたの
すごい嬉しい
『じゃあね』
『あぁ、またな』
ありがとう、陣