不器用な僕たちは……
『ゴメン遅くなって…』
暇だったのかジュースを飲みながら勉強をしていた
『全然待ってないよ』
一応俺も腰掛けた
『片付けるから待ってて』
『焦らなくて良いから』
金原さんはレジまで行きお金を払おうとしたが俺が無理やり金原さんを押しのけてお金を払った
『飲んだのはアタシだけだから払うのはアタシなのに…』
『これは良い点とったご褒美』
『じゃあ今日の送りの車もご褒美?』
『かもね』
そのまま俺の車に乗った
金原さんは後ろに乗ろうとしたが
『助手席にしなよ』
と言って座らせた
金原さんのニオイはなんだかとても落ち着く
ふんわりしたような暖かいようなニオイだ
この香りに包まれたい
道は金原さんが丁寧に教えてくれた
ホントに山奥でビックリした
学校はいつも車で送り迎えしてもらうらしい
いつもみたいに雑談をしていたら着いてしまった
着いてしまったと言っても、金原さんが「ばあばが外に出て来てイヤだから」と言って家より少し離れたトコロでおろした
『先生……』
『どうした?』
なにか悩んだような顔をして
『今日はありがとう
じゃあ、また来週ネ』
軽い挨拶をした
『金原さん……もね……』
『うん
それじゃあ…』
『うん、ばいばい』
最後に
「こうやって車に乗せたのは金原さんだけなんだよ」
と言いたかった
でも言ったら何かが終わるのが恐くて
言えなかった