【短編】羽根月
「オレの言ってる事ってワガママ?」

『だって…今は無理だもん』

「今がいいんだよ!里茉とずっと一緒に居たいんだ」

『じゃテスト終わったらデートしよっか?』

里茉は困ったように、まるで子供をあやすように言った。

「ヤだ!明日!」

『無理よ!一体何なの?大地だってテスト勉強しなきゃなんだし、遊んでられないでしょ?!』

「テストなんかどうだっていいよ!」

──ホント、成績も出席日数も、どうでもいい!

今じゃなきゃ
後悔するかもしれないのに!

『バカな事ばっかり言って困らせないでよ』

「バカな事?オレと一緒に居る事はくだらないのか!?」

『そういう意味じゃないでしょう?それじゃただのワガママよ!子供と同じ!少しの間じゃない。ガマンして、ね?』

オレは里茉にすっかり子供扱いされてた。

それがムカつくんだ!

そりゃオレは年下だし?まだ高校生だし?
八歳も違えば、里茉みたいな社会人から見れば全然子供だよ!

だけど付き合ってるんだぜ?

…ったく!どう言えば分かってくれるんだよ!もう分かんねぇ!

「もういいよ!里茉なんか知らねぇ!」

思わずオレはキレて
勢いよく電話を切ってしまった。
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