【短編】羽根月
オレの行動は彼女への想いから成り立っているって事。

ついそんな事を言ってしまった。
里茉には意味がわかんなかったかもしれないけれど。

彼女とはそれで電話を切ったけど、オレは諦めたわけじゃなかった。

里茉に残された時間…彼女を幸せにするにはどうしたらいいか

足りない頭で必死に考える。

里茉の脳腫瘍は───
手術が困難な場所にあったと真奈が言ってた。

今は投薬のみ。
奇跡でも起きない限りは、彼女の命にはタイムリミットがある。

…里茉はすでに手遅れだったんだ。



だからって時間が過ぎるのを黙って見てるのは嫌だ。

なのに思い通りにならない事に、やっぱり毎日がイライラの連続だった。

里茉にあぁ言ったものの…到底、黙ってテストが終わるのを待てるはずもなく

当然、勉強も手につかない。

マジでテストなんかどうだっていい!

テストと彼女。どっちが大切かなんて考えなくてもわかるよ!

オレはその無意味なテストを殆ど白紙で終わらせた。

数日後、テストの結果が散々だったオレに里茉は『先生』らしく電話をしてきて説教をした。

──もう嫌だ。
もう無理だ。


オレ達はまたケンカをして、電話を切った。


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