【短編】羽根月
オレは彼女の顔を見るのが辛くて三日間、学校を休んだ。

散々悩み考えたあげく、もうこれしかない気がした。

オレは単純かもしれない。
めちゃくちゃ考えたわりには
『バカじゃないの?』
とか言われそう。

でも他にどうしろってんだ?

彼女はオレの事を、自分勝手だと思うだろう。

子供のワガママだと思うだろう。



それでも構わない。





四日目の午前中、かなり遅刻してオレは学校に行った。

もちろん授業中で、静かな校内。
グラウンドから聞こえてくるホイッスルの音。どこかの教室から聞こえてくる先生の声。

オレは深呼吸して教室まで走って行った。

そして勢いそのままに自分のクラスのドアを開けた。

「な、名取くん!?」

ちょうどオレのクラスの授業だった里茉が驚いて言った。

皆も驚いてた。

「今何時だと思ってるのよ?!思いっきり遅刻じゃない!」

「里茉、話しがあるんだ!」

'里茉'と呼んだ事に彼女は少し険しい顔をして、オレから視線をそらした。

「里茉!」

「…ハイハイ。話しなら後で職員室で聞くわよ!」

「里茉!今聞いてほしいんだよ!」

「──名取くん、授業中なのよ?」
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