【短編】羽根月
ホント  オレって単純すぎるかも。

皆のいる前でプロポーズをするなんてさ。

だってこうでもしなきゃ君は、今すぐ結婚なんかしてくれないだろ?

だからこんな事をして、オレから逃げられないようにした。

里茉は怒ってるだろうけど。




当然、オレは停学。
彼女も自宅謹慎になった。

学校に先生と生徒の恋愛を咎められる。
だけどそれほど罪だとは思えない。

そんなに悪い事したか?

ただ、人を愛しただけだ。

オレは反省する事もなく落ち着いていた。
プロポーズしてみたら肝が据わったみたいだ。


オレのしでかした事を知った親にはボロくそに怒られ
翌日、予想していた通り…里茉の父親に呼び出された。

そりゃそうだ。

娘の恋人は生徒。
さらに学校であんな事をして、里茉も自宅謹慎になったんじゃ

怒られて当然。

だけどチャンスでもあると思っていた。

きちんと挨拶して、里茉をお嫁さんにしたいと、お願いするつもりだった。

反対されるのは分かってる。

──だけど本気だから

本気で里茉と結婚するつもりなんだから

向こうで言われそうな言葉を頭の中でシュミレーションしながら
約束した時間に彼女の家へと向かった。
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