【短編】羽根月
お義母さんに里茉の部屋を教えられ、オレは彼女の部屋のドアを軽くノックして

躊躇いがちにゆっくりドアを開けた。

「里茉」

ベッドの上に座っていた里茉は、オレの顔を見るなり睨みつけてきた。

「…なんで大地がウチにいるのよ」

「なんでって…」

…ヤベ。相当機嫌悪いし。そりゃそうだよな。

訳もわからずにあんな事すりゃ──誰だって怒るよな。

でも…上手くやらなきゃ

「どうして…学校であんな事したの?結婚は社会人になってからって言ってたじゃない

何かあった…?」

「何にもないよ」

「じゃ学校はどうするのよ?!進学するのにこんな騒ぎになっちゃって──」

「大丈夫!大検だってあるし、別にこれでオレの人生終わりってワケじゃないじゃん?」

「そーいう問題じゃないでしょ!!」

オレは彼女に抱きつき、そのままベッドに押し倒した。

「きゃ!ちょっと!何してんのよ大地!!」

──落ち着いてやれ

何度も自分に言い聞かせる。

オレは極力笑顔で話しを続けた。

「もう黙って!さっき…お義父さんにOKもらったんだ。一緒に暮らそう」

「………えっ!?」

彼女は驚いていた。
──大丈夫。里茉に気付かれるな。
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