【短編】羽根月
これはごく普通の
他に理由もない、ありふれたプロポーズなんだと思わせるんだ。
純粋に彼女が好きで結婚したい男なんだと思わせろ。
里茉に病気の事を悟らせるな。
涙を浮かべながらOKを出してくれた里茉の両親の姿が、頭から離れない───
失敗は許されない。
彼女に『yes』と言わせるんだ。
オレは絶対に彼女を幸せにする…
「今やりたい事をやっておきたいんだ。今しか出来ない事…今だから価値のある事があると思うんだ」
「今だから?」
「今は里茉と結婚して…一緒にいたい。約束が欲しいんだ。もう離れないって約束…オレは里茉を幸せにするって約束」
「だ…大地の気持ちもわかるけど…時間はまだあるんだし」
「もうダメなんだよ。離れたくない。だからオレ、里茉のお義父さんにも許可取ったのに」
「…」
しばらく迷って、里茉は言った。
「籍は…まだ入れないから…ね」
「うん。ムリ。オレまだ17歳だし」
「…ぅ」
彼女がちょっと膨れた。
ムクれた顔も
可愛いよ、里茉
「オレに一生ついてきなさい」
「はい…」
小さな
聞こえないほどの声で
彼女が返事をくれた事をオレは一生忘れない。
他に理由もない、ありふれたプロポーズなんだと思わせるんだ。
純粋に彼女が好きで結婚したい男なんだと思わせろ。
里茉に病気の事を悟らせるな。
涙を浮かべながらOKを出してくれた里茉の両親の姿が、頭から離れない───
失敗は許されない。
彼女に『yes』と言わせるんだ。
オレは絶対に彼女を幸せにする…
「今やりたい事をやっておきたいんだ。今しか出来ない事…今だから価値のある事があると思うんだ」
「今だから?」
「今は里茉と結婚して…一緒にいたい。約束が欲しいんだ。もう離れないって約束…オレは里茉を幸せにするって約束」
「だ…大地の気持ちもわかるけど…時間はまだあるんだし」
「もうダメなんだよ。離れたくない。だからオレ、里茉のお義父さんにも許可取ったのに」
「…」
しばらく迷って、里茉は言った。
「籍は…まだ入れないから…ね」
「うん。ムリ。オレまだ17歳だし」
「…ぅ」
彼女がちょっと膨れた。
ムクれた顔も
可愛いよ、里茉
「オレに一生ついてきなさい」
「はい…」
小さな
聞こえないほどの声で
彼女が返事をくれた事をオレは一生忘れない。