【短編】羽根月
オレの頭の中で、色んな想像が駆け巡って
一瞬で真っ白になった。

『大地!どこ捜したらいいの!?』

──ドコ…を?

真奈に焦ってる事を悟られないように出来るだけ冷静に答えた。

「いつ頃居なくなった?突然なのか?」

『昼間、親と病院に行ったの。それで…今後の治療の事もあるし………………』

「うん…?」

『その時…本人に…告知…したらしいの』

オレは携帯電話を落としそうになり、ギュッと握り直した。

指先から血の気がひいていく。

「病気のことを…か」

『うん…で、家に帰ってきても普通にしてたの。私もまさか告知してたなんて思わなくて、少し目を離してた隙に──』

「里茉は実家から居なくなったんだな?」

『う、うん』

「真奈はそのまま実家の周りを捜してて。オレも思いつくとこを見ながらそっちに行くから」

『わかった!ゴメンね、大地…』

「いいよ、見つかったら電話するから」

そう言って電話を切り、慌ててアパートから出た。


目的地も、彼女が行きそうな場所もわからない。

一体ドコに行けば里茉がいる?

記憶が混乱して家を出たのか
告知された事がショックで家を出て、何処かで一人でいるのか…
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