【短編】羽根月
考えないようにしていた事を言われて、オレは思わず怒鳴った。

「だけど…じゃあドコに居るっていうの!?思いつく場所はみんな捜したのにいなかったのよ!!」

「わからな…あっ!」

急にストンとオレの中に浮かび上がるように

あの場所を思い出した。

──そうだ
あそこに里茉が居る!

「ちょっ…大地!?」

真奈の呼びかけを無視してオレは走り出した。

絶対に居る!
何故そう思ったのか説明なんてできないけど。

オレは走った。

二人が出逢った




あの校舎
オレ達が
かつていた学校へ──








「…里茉」

誰も居ない校舎の外で一人佇む彼女を見つけた時、オレはホッと安心した。

もう八時。
みんな帰宅してる。
誰か先生は居るかもしれないけど

暗くなった校舎を、彼女はジッと見つめていた。

「里茉」

オレはまた声をかけた。

彼女はゆっくり振り返り、笑顔で応えた。

「キミはココの生徒さんなの?」

──息を飲んだ。
ココに…オレの知る彼女はいなかった。

「…そうだよ」

「あたしもね、来月からココの先生になるの。ヨロシクね」

「ヨロシク先生…」

オレが答えると、彼女はまた校舎を見た。
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