【短編】羽根月
きっと…この校舎を見て、里茉は新しい職場に胸をときめかせている。
オレと出逢う前。
なりたい仕事に就く事が出来て──夢や希望に満ち溢れていた彼女。今、里茉はその頃に戻っている。
まるでタイムマシンに乗ってココまで来たみたいに、オレとの記憶も忘れ──ジッと校舎を見つめている。
きっと想像してるだろう…
授業風景や生徒達との会話。毎日が輝いて見えるだろう景色。
そんな彼女の夢を
オレは壊した。
───ゴメン、里茉
出来る限り教師を続けさせてやればよかったんだ…それをオレが出来なくした。
もっと違う方法で、彼女に仕事をさせるべきだった?
でも…近い将来、いずれは辞めなきゃならない日が来ていたはずだし。
オレはバカで愚かだ。
何をしても
何もしなくても
彼女に対する後悔ばかりがオレに降り積もっていく。
罪悪感と
それに比例する愛情
オレはそっと里茉の手を取って言った。
「先生、帰ろう」
「…ドコへ?」
不思議そうにオレが繋いだ手を見ていた。
「家へ。先生が帰ってくるのが遅いから家族が心配してるよ…オレ送っていくからさ」
「うん…そっか、そうだね…」
「帰ろう…」
オレと出逢う前。
なりたい仕事に就く事が出来て──夢や希望に満ち溢れていた彼女。今、里茉はその頃に戻っている。
まるでタイムマシンに乗ってココまで来たみたいに、オレとの記憶も忘れ──ジッと校舎を見つめている。
きっと想像してるだろう…
授業風景や生徒達との会話。毎日が輝いて見えるだろう景色。
そんな彼女の夢を
オレは壊した。
───ゴメン、里茉
出来る限り教師を続けさせてやればよかったんだ…それをオレが出来なくした。
もっと違う方法で、彼女に仕事をさせるべきだった?
でも…近い将来、いずれは辞めなきゃならない日が来ていたはずだし。
オレはバカで愚かだ。
何をしても
何もしなくても
彼女に対する後悔ばかりがオレに降り積もっていく。
罪悪感と
それに比例する愛情
オレはそっと里茉の手を取って言った。
「先生、帰ろう」
「…ドコへ?」
不思議そうにオレが繋いだ手を見ていた。
「家へ。先生が帰ってくるのが遅いから家族が心配してるよ…オレ送っていくからさ」
「うん…そっか、そうだね…」
「帰ろう…」