【短編】羽根月
「うん。それで立派なリーマンになってー里茉を迎えにいくよ」

「待ってるよ。頑張ってね」

里茉が嬉しそうに笑う。
未来を語れる事が、オレ達は幸せだった。

だって皆には言えない教師と生徒の恋だって、数年経てば解消される問題だもんな。要は時間の問題。

里茉は独身だし、結婚できない間柄じゃなかったし。

いつかは結婚できる。

分かってるけど…
あー!!早く大人になりたい!

オレがため息をついた時、午後五時を知らせる学校のチャイムが鳴った。

「…あ、ホラもう授業が始まるから教室に戻りなさいよ」

「!?はぁ?」

里茉のあまりにもボケた言葉に、オレは自分の耳を疑った。
そして思わず笑ってしまった。

「何ボケてんだよ!もう放課後だぞ!大体さーオレが昼間ここに来るワケないじゃん!?」

放課後オンリーって決めたのも里茉じゃん!

でもオレの言葉に、里茉はキョトンとしていた。

「…?何言ってんの?大地。放課後?」

「どーしたんだよ。何か最近ボケまくってない?大丈夫か?それともツッコミ入れる為にボケた?」

その時、準備室のドアが勢いよく開いた。

「お姉ちゃん!!」
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