【短編】羽根月
オレはめっちゃビビって、数センチ飛び上がった気がした。

振り返ると、準備室へやってきたのは里茉の妹、真奈だった。

コイツはオレと同じクラス。

つまりここの生徒だった。

「お姉ちゃん!何してんのよ!」

部屋に入ってくるなり、スゴい剣幕だった。

何かあったのかって事よりも、コイツにビビらされた事にオレは怒った。

「真奈!準備室にはノックして入らないとダメなんだぞ!」

「あ、名取いたの?」

冷ややかにオレをチラリと見て言った。

「居ちゃ悪いか?!」

「オカシイでしょ?もぅ!学校でお姉ちゃんと逢い引きなんてやめなよね」

「逢い引きとか言うな!里茉とデートしてんだ!」

「二人共…あたし一応先生だからさ…先生って呼びなさいよ~…」

オレ達が言い合う間に挟まれて、里茉が困っていた。

その里茉を見て、真奈は用件を思い出し言った。

「お姉ちゃん!職員会議なんじゃないの?坂本先生が探してたよ!」

「え…っ…えぇー?ウソ、あっヤバ!あたし行かなきゃ!じゃあね!」

里茉は時計を見てビックリし、慌ててノートを掴んであっという間に部屋を出て言った。

里茉は相変わらず忘れっぽい。
よく教師になれたよな
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