【短編】羽根月
それは幸い休日の事だったけど

朝か夜かもわからないで、何度も入浴していた。

それは日に日に酷くなっていき、記憶も曖昧になり、幻覚らしいものも見ていたようだったと。

心配した親が、ウソをついて里茉を病院に連れて行き、何種類かの検査をしたのち──


医師に驚くべき結果を聞かされたのだ。






『お嬢さんの命は半年──もしかすると、もっと早いかもしれません』






「どうしよう…名取っ!名取ぃ…お姉ちゃんが

死んじゃうよぉ…っ」




   ウ
    ソ
     ダ





オレの頭を後ろから殴られたみたいに、鈍い音がした気がした。

到底、リアル話しとは思えない程に、どこか空想のようにフワフワしてる。

真奈を家のそばまで送り、オレは家に帰るまでの道のりを、雲の上を歩いているみたいだと思った。

…絶対にウソだ。

あんな元気な病人がいるか!

すぐに死ぬような
病気があるように見えないし!

信じない!
信じない!
信じない!

絶対、ウソ。
真奈の悪い冗談なんだ。

きっとオレ達があんまりにも愛し合ってるから…妬いて言った事なんだ。

ウソ──だと思うのに心当たりを探していた。
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