【短編】羽根月
その日から、オレは悩み続けた。

ウソだと思いたい一方で、やっぱりこれは本当のことで
一年も経たないうちに里茉は死んでしまうのだと──絶望もしてる。

その間に、オレは何ができる?

里茉の寿命が尽きる事が前提じゃない。
だって奇跡だって、この世にはあるじゃないか…

オレに出来ること

オレにしか出来ないこと

里茉にとって…最善の方法───




そんなの答えなんか出せるか!?


わからないまま何日も眠れず、それでも里茉に悟られたくないから学校も休まずに行った。

とりあえずできる事といえば、何もなかったように振る舞い、いつものように里茉を愛すること。

それから数日、里茉を見ていてもそれらしい症状はなかったから。オレの中では

『やっぱり病気なんてウソなんじゃねーの?』

なんて思ってた。





ある日の昼休み、オレはルールを破って国語準備室を訪れた。

里茉の授業中は見てられるから安心だけど、それ以外のオレの目の届かない時間は心配だったから。

「コンコン」

軽くノックする。
特に中からの返事があるわけじゃないから、オレはすぐにドアを開けて中に入った。
< 9 / 53 >

この作品をシェア

pagetop