わたしから、プロポーズ


「何で、そんな事を言われないといけないんですか?美咲さんが元カノだからですか?」

睨みつける私に、美咲さんは笑みまで浮かべている。

まったく、どこまでも人をバカにしている様で腹立たしい。

「そう。元カノだから。瞬爾と別れたのは、私がそれを望んだからなんだけど、正直後悔してるの。だから、迷うならやめて」

美咲さんの悪びれもしない台詞に、言葉を失うだけだ。

「意味が分かりませんけど…」

ようやく口に出せた言葉を、美咲さんは笑い飛ばしたのだった。

「鈍いのね。結婚を止めるなら、瞬爾は間違いなくあなたと別れるはずなのよ。だから、止めたいなら、さっさと止めて欲しいわけ」

何を言っているの、この人は。

どうして、そこまで言いきれるのだろう。

「それって、私と瞬爾に別れて欲しいって意味ですか?」

すると、美咲さんは軽く頷いた。

「そんなの…、仮に私たちが別れたとしても、美咲さんと付き合うかなんて分からないじゃないですか」

どこまで自信満々なのだろう。

美咲さんの挑発的な言葉に、こちらも応戦したつもりでいた。

だけど、それは完全にノックアウトされたのだった。

「分かるわよ。瞬爾はずっと、私とやり直したがっていたんだから」

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