わたしから、プロポーズ
禁断のキス
瞬爾に距離を置きたいと言われて、これからどうすればいいのか分からない。
せっかくの休日なのに、瞬爾は出て行ってしまい、私は一人部屋に残された。
まるで、帰ってくるまでには出て行けよと、言われているみたいだ。
「どうしよう•••」
混乱する中、スポーツバッグを取り出すと、手当たり次第に詰め込む。
とりあえず、服やメイク道具を持って出れば何とかなるはずだ。
「しばらく、実家に帰ってようか••」
だけど、それでは絶対に事情を聞かれてしまう。
両親は、私たちがうまくいっていると思っているのだから、余計な心配をかけさせたくない。
それに、詮索もされたくなかった。
バッグに詰め込み終わり途方に暮れていると、携帯の着信が鳴ったのだった。
それは和香子からで、新居に行った時に連絡先を交換したことを思い出した。
それにしても、何てタイミングだろう。
今は新婚さんのノロケ話など聞きたくない。
「もしもし?」
憂鬱な気持ちで電話に出ると、さらに気の重そうな声が聞こえてきた。
「莉緒?お願い•••。助けて」
「和香子?どうしたの!?どこにいるの?」
声色からただ事ではない事が分かる。
「家なの。お願い、助けて」
「分かった。すぐ行くからね。待ってるのよ?」
電話を切ると、ほとんど無意識にスポーツバッグを肩にかけ、部屋を飛び出していたのだった。