わたしから、プロポーズ
白紙になった二人の未来
瞬爾は、今回の件を全て自分の責任だと説明してくれた。
私の今後の仕事の在り方に対する話し合い不足と、今まで当たり前に過ごしていた時間に甘えていたと理由を説明してくれたのだった。
「僕がもっと、彼女の気持ちに寄り添うべきでした。本音を出せる環境を作ってあげるべきだったと、反省しています」
そう言って頭を下げた瞬爾に、お父さんたちは首を横に振った。
「二人の問題である以上、責任も二人にあるんだ」
お父さんのこの言葉は、私にも非があるのだと言っている様なものだった。
今ならそれを、素直に受け入れられる。
むしろ、責任は全て私にある気がするくらいだ。
そして最後に、お父さんたちからゆっくり話し合う様に言われ、瞬爾は席を立った。
見送る様に言われた私は、気まずい気持ちを抱えながらも、瞬爾としばらく歩いたのだった。
瞬爾は車で来ているのだから、歩く必要はない。
だけど、私と一緒に歩いてくれるのは、彼なりの優しさだと改めて感じてしまった。
「莉緒、無理しなくていいんだよ。嫌ならもう、戻ってくれていい」
一向に目を合わさない私に、瞬爾はそう気遣ってくれた。
もちろん、それは全く違う。
嫌なわけがない。
それどころか、今までの身勝手な振る舞いを謝りたいくらいだ。
だけどそれは、どうしても出来なかった。
「ううん。嫌じゃないよ。お父さんたち、きっと本当は私たちに、やり直して欲しいと思ってるのよ。だから、私に見送れと言ったんだと思う」
小さな声で言った私に、瞬爾は穏やかな笑みを浮かべたのだった。
「それなら一つだけ、言い訳をしてもいいか?」
近くの公園へ差し掛かったところで、瞬爾は足を止めたのだった。