わたしから、プロポーズ
「そんな•••。瞬爾が責任を感じることじゃないよ」
全ては私の身勝手から生まれたもの。
私こそ謝りたいたいけれど、瞬爾はゆっくりと手を離し、先に口を開いたのだった。
「美咲の事を黙っていたのは、本当にごめん。彼女は、確かに俺が好きだった人なんだ。 どこかで、断ち切れなかった自分がいたと思う」
「それなら、私だって一緒だよ。私もヒロくんの事を•••」
そこまで言うと、小さな笑顔を浮かべた瞬爾に指で唇を塞がれた。
それ以上は話さなくていい、そう言われている様だ。
「俺が莉緒を、いつの間か縛りつけてたんだよな。本音も出せないくらいに。だから、俺から莉緒を離すよ」
「え?それは、どういう意味?」
鼓動が速くなる。
それは、いい事を期待しての緊張ではない。
嫌な予感を察知したからだ。
「結婚の話は白紙に戻そう。莉緒も知ってる通り、海外赴任の話がある事には間違いないんだ。それも踏まえて、もう一度考え直さないか?俺たちの関係も」
それは、最後に突き付けられた最大の罰に思えた。
いつだって私を受け止めてくれた瞬爾から言われた言葉は、誰よりも何よりも胸に突き刺さったのだった。
「それは、別れるっていう事?」
絞り出す様に聞いた私に、瞬爾はゆっくりと頷いたのだった。