わたしから、プロポーズ
二人は、一度も口を挟まず聞いてくれた。
そして、全てを聞き終えた遥が私に怖い顔を向けたのだった。
「はっきり言って自業自得。何で泣いてるのか意味が分からない」
すると、顔を真っ青にした広田さんがフォローを入れてくれた。
「おい、そんな言い方ってないだろ?坂下さんだって、彼女なりに苦しんでるんだし。友達なら、もう少し優しい言葉をかけてやれよ」
「友達だから、はっきりと言ってるんじゃない。じゃあ、莉緒に辛かったわねって言えばいいの?それじゃ、まるで課長が悪いみたいでしょ」
噛み付く様な遥に、広田さんはたじたじだ。
「広田さん、いいんです。ありがとうございます。遥に話を聞いて欲しかったのは、遥なら本音を言ってくれると思ったからなんです」
遥の言った事はもっともで、全ては自分が蒔いた種だ。
厳しい言葉も当然だった。
「莉緒が私に本音で話して欲しいと思ったみたいに、課長も莉緒に本音を見せて欲しかったんでしょ?で、これからどうしたいの?」
「どうしたい•••?」
「そうよ。このまま、さようならするの?この際、元カノも初恋の人も関係ないでしょ?キスの事を気にするのは分かる。だけど、言い訳ばかりして、弱音ばかり吐いて、結局莉緒はどうしたいのよ。私にも本音を聞かせて欲しいわ」
本音?
私の本音って?
遥の言葉は、私の頭の中でぐるぐる回る。
私はどうしたいのか。
その答えは簡単だった。
「私、瞬爾とこのまま別れてしまうなんて嫌」