わたしから、プロポーズ
「結婚ですか!?何で、私を見て思ったんですか?迷ってるんですよ?」
不審な眼差しいっぱいで見ると、広田さんはしれっと答えたのだった。
「男から見れば、そうやって悩んでる女性も素敵だよ。ますます手放すもんかと思うもん」
「えー?」
どうも怪しい言い方だ。
いつもの調子のいい広田さんに戻っている。
すると、遠くから遥が戻ってくるのが見え、広田さんは慌てた様に耳打ちをした。
「だからね、内心は課長も燃えているはずなんだよ。きっと、坂下さんを取り戻そうと思ってるはずだ」
「え?」
聞き返したと同時くらいに、遥が戻ってきた。
「莉緒、ちゃんと考えた?」
「あ、うん。私ね、仕事を頑張るわ」
「えっ!?それって、課長を諦めるって事?」
「ううん。違う。自分の気持ちに整理をつける為よ」
遥の驚きぶりを見て、私と瞬爾にうまくいって欲しいと思ってくれている、それを感じた。
なんだかんだで、応援をしてくれている優しさが分かって、ますます元気が沸いてくる。
自分を、悲劇のヒロインぶらせていた事が恥ずかしい。
そして、瞬爾を見ている様で見ていなかった自分にも。
「ありがとう。遥も広田さんも。お陰で目が覚めた気がする」
ようやく、自分が進むべき方向が見えた、そんな気がする。