わたしから、プロポーズ
「それで?和香子とは、どうするつもりなんですか?」
離婚するだなんて言っていたけれど、旦那さんには話したのだろうか。
すると旦那さんの表情は、にこやかな笑顔から一変、真剣な眼差しに変わった。
「和香子からは離婚を切り出されました」
やっぱり!?
和香子は言葉通り、旦那さんに離婚を切り出していたのだ。
さすがに久保田さんも知らなかった様で、口を開けて驚いている。
「あの、それで?和香子とはどうするんですか?」
まさか、本当に離婚をしてしまうのか。
それではあまりに切な過ぎる。
「離婚はしません。どこまで許してもらえるか分かりませんが、和香子とは話し合っている最中です」
「そうなんですか•••」
ホッとする自分がいるのは、自分が結婚を逃してしまったかもしれないからか。
和香子とは特別仲が良かったわけじゃないけれど、結婚を迷った私としては二人には、結婚をしたからこその幸せを見せて欲しいのだ。
「だけどさ、大丈夫なのか?奥さん、許してくれる?」
久保田さんの問いかけに、旦那さんは苦笑いをした。
「和香子は、少し誤解をしている部分があるから。それに、俺は彼女を愛してる。それか伝わるまで、言い続けるつもりだよ」
その言葉が羨ましいくらいで、和香子に言いたいくらいだった。
きっと、夫婦にしか分からない問題があるのだろうから、他人が出しゃばる事ではない。
問題があれば、二人で解決する。
その都度想いを伝え合って乗り越える。
そういうものなのだ。
きっと夫婦って•••。
「そっか。そういう事だったんだわ」
「坂下、何だよ急に」
睨む久保田さんに、思わず身を乗り出した。
「結婚がですよ!」
私も、瞬爾との結婚を考えた時に、それに辿り着くべきだったのだ。
不安があるなら、瞬爾に話せばいい事だったのだ。
新しい生活に煮詰まったら、その都度伝えればいいのだ。
だって、結婚をすれば瞬爾は、私の旦那様だったのだから。
あれこれ一人で悩んで、解決する必要はないのだ。
「今さら気付いたって遅いですよね」
大きくため息をついたところで、旦那さんが声をかけた。
「何かあったんですか?」