わたしから、プロポーズ
今日の為…?
「どういう意味?」
付き合った記念日だから、そう言っているのか、いまいち意味が分からない。
すると、瞬爾はカバンから何かを取り出し、私の前へ置いた。
それは、ピンクのリボンに包まれた小さな箱だった。
「これ…」
大きさから言えば、指輪を連想させる箱だ。
でも、過剰な期待は禁物。
はやる胸を抑え、努めて冷静に聞いた。
「これ、何なの?」
「開けてみて」
優しく微笑む瞬爾の顔に、胸はどこまでもときめく。
手が震える…。
少しずつリボンを外し白い箱を開けると、さらにクリーム色の箱が出てきた。
それをすぐには開けられなくて、瞬爾に顔を向けると、優しく頷かれたのだった。
『早く開けて』
そう言われているみたいだ。
震える手でそっと開けると、輝く指輪が飛び込んできたのだった。
それは、プラチナのリングで、ピンクダイヤモンドが中央にあしらわれている。
そして中心のダイヤを囲む様に、小さめのピンクダイヤが散りばめられていた。
「瞬爾、これは…」
言葉が出てこない。
単に、記念日の指輪かもしれないのに、胸の鼓動は速くなる。
そんな私に小さく笑った瞬爾は、指輪を取り出すと、左手を優しく取った。
「びっくりするよな?だけど、俺はずっと決めてた。今日言おうと…。莉緒、結婚しよう」
「え…?」
あんなに夢に描いていたプロポーズなのに、いざその言葉を貰うと、頭の中は真っ白になってしまった。