わたしから、プロポーズ
私のプロポーズは、心に届いたのだろうか。
呆然とする瞬爾に、それ以上の言葉をかけられなかった。
そして、少しの時間が流れた後、ようやく瞬爾は口を開いてくれたのだった。
「ありがとう。やっと、莉緒の本音が聞けたんだな」
ぎこちなさが残る笑顔で、私を優しく抱きしめる。
ずっとずっと、恋しかった温もりだ。
「瞬爾、それって期待していいの?さっきは、別れるつもりだって言ってたのに」
すると、瞬爾がケラケラと笑ったのだった。
「だって、完全にフラれたと思ったから。会社を辞める事は聞かされていないし、俺から離れる為なんだなって思ったんだよ。それならいっそ、自分から言ってしまうかと思って。まあ、ちっぽけな男のプライドってやつだな」
「男のプライド?」
瞬爾の胸に顔を埋めたまま話を聞いていると、だんだん頭がボーッとしてくる。
まるで包み込まれている様だからだ。
「そう。プライド。未練はないよって、強がりたかったんだ。だけど、本音は違う」
「違う?」
顔を上げると、瞬爾は私の両頬に優しく触れた。
「ああ。本当に嬉しかったよ。莉緒からのプロポーズ。もう少しで、俺たちの未来を手放すところだった。莉緒を必ず幸せにする。そして、俺も幸せになる。だから、これからもよろしくな」
そして、瞬爾は軽く唇を重ねながら、思い出し笑いをしたのだった。
「さっきのキスシーン、刺激が強かったよな」
「えっ?うん•••」
さっきまでは平気な振りをしていたのに、やっぱり瞬爾も意識していたのか。
改めて言われると、こちらも意識してしまう。
あの濃厚なキスシーンは、思い出すだけでドキドキだ。
「俺も、莉緒にキスしたい。息も出来ないくらいに•••」
「瞬爾•••」
まさに、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしい。
だけど、これからは自分の気持ちをもっと伝えると決めたのだ。
今までなら、これ以上の言葉は続かないところだった。
だけど、今は違う。
「うん。して•••。私も、瞬爾と息も出来ないくらいのキスがしたい。瞬爾とでなきゃ、キスも出来ない」
目を閉じると、再び唇が重なった。
それは言葉通り息も出来ないくらいのキスで、甘い声が否応なく漏れる。
「キスだけじゃ、足りないよ」
息を乱しながら、瞬爾の体を抱きしめる。
すると、痛いくらいに抱きしめ返された。
「俺もだよ、莉緒。抱きたい。抱かさせて••」