わたしから、プロポーズ
新しい未来へ
久しぶりに触れたベッドは、こんなにも瞬爾の香りがするのかと改めて知った。
そして、スプリング音もうるさい。
「ねえ、瞬爾。このベッド、こんなにうるさかったっけ?」
体を重ね合っている最中、かろうじてその疑問を投げかける。
だけど、それはすぐに甘い声へと変わった。
きっと、途中で余計な事を考えた私への罰で、瞬爾は意地悪をしているのだと思う。
それにしても、こんなに私の事を知っているなんて。
触れられる場所の全てが気持ちいい。
「今夜は、いつもより燃えてるからだよ。莉緒も積極的だもんな。だから、スプリングがきしむんだ」
「だって•••。瞬爾と抱き合う事が、こんなにも幸せな事だと思わなかったんだもん」
そう。
もう離れたくない。
もう迷わない。
私の幸せは、瞬爾の側にあるのだと分かったから。
こんな風に抱かれることは、至福の時間。
「お願い。もっと•••」
愛される幸せ、愛する幸せ。
私にとって瞬爾との結婚は、きっとそれを感じられる毎日になるはずだ。
何度も何度も抱き合って、目が覚めた時には夜が明けようとしていた。
隣で気持ち良さそうに眠る瞬爾が愛おしくて、その寝顔に触れようとした時、左手薬指に指輪がはめられている事に気付いた。
それは、最初にプロポーズをされた時に贈られた指輪だ。
「いつの間に•••?」
婚約指輪になり損ねたけれど、今度こそは大丈夫。
左手をかざし、指輪を見つめた。
なんて眩しいくらいに輝いているのだろう。
「ありがとう、瞬爾。一生、大事にするね」
そっと寝顔にキスをして、再び目を閉じたのだった。