わたしから、プロポーズ


いくら、3年付き合って同棲までしているとはいえ、不安は尽きない。

何せ、瞬爾は社内でも有名な“デキル”上司だからだ。

有能なビジネススキルに、堪能な語学。

海外支社とのやり取りも得意で、私の存在を知りながらも、瞬爾に憧れている女性社員は多い。

それに、極めつけはルックスだ。

整った顔立ちには、派手さや地味さといった極端な印象はなく、優しさと甘さを出している。

そして私より30センチ高い183センチの長身と、スポーツで鍛えた肩幅の広さは、瞬爾をより魅力的に見せていたのだった。

色っぽさのある低い声も、女性社員からのポイントの高さでもある。

そんな瞬爾と恋人同士なのが未だに信じられないくらいで、私はそれだけ彼にのめり込んでいたのだった。

だからこそ、決定的な約束が欲しかった。

誰かに奪われるかもしれない。

そんな不安を掻き消してくれる約束が欲しかった。

きっと、遠くない未来に言ってくれるよね?

“結婚しよう”

その言葉を。

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