わたしから、プロポーズ
呆然とする私の薬指に、瞬爾は指輪をはめてくれた。
キャンドルの明かりが反射して輝く指輪が、眩しいくらいだ。
「俺、莉緒に出会って初めて分かった事があるんだ」
「初めて分かった事?」
左手をテーブルに置いたまま、瞬爾から目がそらせない。
「ああ。それは、自分の手で幸せにしたい女性に会えたという事だよ。俺にとっての莉緒は、初めてそう思える女性なんだ」
「瞬爾…」
プロポーズを貰ったら、テンションが上がって笑顔が止められないと思っていた。
『ありがとう!』
そう言うと思っていた。
それなのに…。
「莉緒、返事はくれないのか?」
優しく私を見つめる瞬爾が、どんどんぼやけて見える。
瞬きを一回、頬に涙が流れるのが分かった。
「瞬爾…、私でよければ、よろしくお願いします」
本当に感動すると、嬉しいなんて言葉では表せないのだと分かった。
そして、涙は悲しい時に流れるだけではない。
幸せを感じた時にも流れるのだと知った。
「ありがとう、莉緒。誰よりも幸せにする。約束するよ」